えいちゃん完走記
せめてハーフ地点までは走らんとのう
位置取りはおわりの辺。
副部長「今日は前の方に位置取りします。」
「じゃ、明日また会社で会いましょう。」
二人は分かれた。
10:00調度スタート。
900余の選手はいっせいに気合をいれる。
「さあ、これから長いどう。」
隣から聞こえる声、それはみんな実感している。
えいちゃんのまわりの選手は距離だけではなく『時間』まで長いのだ。
はやくもビール
この日、新聞報道によれば記録的な暑い日だった。
沿道で応援するおっさん、田んぼのゲシに座って缶ビール。
「おっさん、ええなあ。」
えいちゃんはこれから40キロも走らないとおえんのにな。
うんざりするような長い距離が待っている。
岡山県ふるさと村
なにか見たような光景がひろがってきた。
道路標識などに「岡山県ふるさと村」「大高下」、そういう看板が目につく。
そうか、ここが「大高下ふるさと村」か。
かやぶき屋根の民家が点在している。
歩く。
坂道は歩く。
まだまだ長い。
(とにかく山またやま、川また川)
これでえいちゃんのフルマラソンはおしまいか?
やっとハーフ地点にたどりついた。
ほっとする、ほっとする理由は半分終わったことだけでない。
単純にいえば、このマラソンは残り半分は下り坂。
下り一本、それですこしだけ安心した。
けれど調子はでない。
まだまだ残り20キロもあるのか?
長い。
長すぎる。
それは25キロ地点エイドも同じ気持ち。
フルを走るのはひょっとしたらこれでおしまか?
うん?なんか調子がでたど
30キロと35キロ地点エイドにえいちゃん専用の飲み物を用意していた。
その袋にはタバコとライターがはいっている。
30キロがちかずく頃、そこでタバコを吸う気はなくなっていた。
調子がでてきたのだ。
タバコよりも走り。
30キロエイドでは水・パン・バナナ、そしてなにより走りに欲がでていた。
サブ・ファイブ、それを意識した。
やっぱしタバコはうめいのう
さすがに35キロ地点ころにはまたくたびれた。
まあタバコでも吸って元気をだそう。
エイド広場にえいちゃんはへたりこんだ。
マイルドセブンを一本。
うめいのう。
再び走りを始めたえいちゃんはその頃、「完走」の二文字が見えてきていた。
走る、歩く、走る。
それでも抜いていく方が多いのだから。
バスが行く。
そのバスは満員の選手を乗せている。
「ええのう、もう走らんでもええんか。」うらやましが半分。
そしてえいちゃんはバスには乗らど、その気持ちが半分。
バスはまた行く。
おおゴールがちかずいた!
左右両岸がコース道、その地点に戻ってきた。
気持ちがいっきに盛り上がる。
「帰ってきた。」
「やっとここまで戻った。」
コースでいちばん低い地点の橋。
そこをめざして降りる人、橋を渡って上る人。
その選手達が視界にはいる。
橋を渡る。
完全に気持ちはゴール。
右岸にはえいちゃんの後ろの選手たちが走っている。
会場のアドバルーンが見えてきた。
今度は気持ちは「余裕」。
会場のアナウンスの声も聞こえてきた。
「こんどは、どこのフルマラソンにエントリーするかな?」
そんなことを思いながら会場へはいっていった。
この味だけはさいこうじゃ
5キロも、10キロも、そしてハーフも。ゴールした後は疲れと満足感が混ざりなんともいえない味がある。
けれどフルマラソンは違う、その言葉以上の自分に対しての例えようのない自己満足感がある。
この味は自分だけのもの、えいちゃんだけのもの。
この味はええから、良すぎるから、また味わってみたくなる。
(ゴール後、これがことばでいえない満足感)
先生ご夫妻。
ご主人は「今日はマネージャー兼運転手です。」と、応援参加だった。
2004年5月5日